AWARD LIST 20242024年度受賞事例

愛知県 国産うずらを救え! 真摯に向き合う リーダー企業のブランド戦略

現代の食料供給は様々な課題に直面しており、国産うずら卵もその例外ではありません。国産うずら卵のB2B業界において39%の市場シェアを誇るリーダー企業として、天狗缶詰様は国産うずら卵の安定供給とサステナビリティを最優先課題として取り組みました。このブランド事例では、天狗缶詰様がどのようにして市場の変動に対応し、持続可能な供給体制を築き、B2Bパートナーとの信頼関係を強化したのか、その具体的なブランディングの取り組みと成果をご紹介します。
プロジェクト名:D2B

櫻山 貴文 株式会社サンコー 1級資格保持者
1966年名古屋市生まれ。1989年明治大学商学部卒業後、富士通株式会社でシステム営業担当。1994年父(創業者)が経営する印刷会社にUターン転職。2003年11月代表取締役に就任後、ファブレスを選択し業態変革。現在は「ブランディングは日本を救う!」という信念を掲げ、ブランド構築のプロフェッショナルとして中小企業経営者ならびに組織変革の中核を担うビジネスパーソンを対象にしたブランディング支援業務に特化。2020年『ブランディングは中小企業を救う! 思考を習慣化する心理学』(セルバ出版)を上梓。

三浦 路夫 三浦事ム所 ミドルトレーナー
2003年三浦事ム所設立。朝日新聞社様のイベントポスター、Billboard Classics様のイベントポスター、万作の会様のイベントポスターなど、一流アーティストや伝統芸術のイベント広告を中心にアートディレクション業務に従事。
2015年より経営戦略の風上からクリエイティブに関わる必要性を感じ、ブランディング専門のデザイン会社へ事業転換。
最近の主な仕事には、隈研吾氏が代表理事として代々木競技場の世界遺産登録を推進する、一般社団法人G.Y.S.C.のロゴ、およびブランドデザイン全般を制作。
当日の様子
国産うずらを救え! 真摯に向き合う リーダー企業のブランド戦略
「国産うずら卵のブランディング」は、国産うずら卵のBtoB市場で39%のシェアを誇る老舗企業のブランディング事例です。「食を通して人を幸せにする」という企業理念と「真摯に向き合う」という経営理念を掲げる天狗缶詰は、現社長の「理念の浸透を加速させたい」という思いと「社員を巻き込んでいく」という思いからブランディングに着手。コロナ禍で生産者が存続の危機に瀕していたうずら卵事業を対象とし、一般消費者の需要喚起やペルソナとの共創による新しい価値の提供などを目指しました。
市場環境分析では、想定するお客様を中食ベンダーとし、競合は鶏卵メーカーも視野に。自社の強みは、豊富なノウハウと情報力や開発力、全国展開を基盤にしたフォロー体制やネットワークと捉えました。中食ベンダーのペルソナは、商品開発部門に所属する女性初の役員候補と設定し、ブランド・アイデンティティは「食の未来を共に育む うずら卵のコンシェルジュ」と決定しました。
コミュニケーション設計では、ロゴに変わるブランドの推進力となる要素を模索。唯一無二となる「うずら柄」をブランドカラーにし、タグラインは消費者向けのキャッチフレーズ「小さな卵の大きなチカラ」をBtoB向けに変換して「小さな卵でいちずに応える」と決め、製品パッケージに展開しました。また、社員各自のコンシェルジュ宣言を入れられるスペースを設けたブランドブックも作成。さらに「uzura.com」というドメインを取得し、ウェブサイトを起点として「一般消費者の需要喚起」「共創による製品開発」につながるブランド体験設計を構築しました。
こうした取り組みにより、ブランドサイトのページビューは公開1年後に7倍に。中食ベンダーとの開発案件は、2024年度上半期は13件となり、缶詰は3割の単価アップに成功。生産者の自給率もアップしました。さらに各部署で「自分たちはコンシェルジュ」という意識を高めているなど理念の浸透も進みました。
