ブランド・マネージャー認定協会 BRAND MANAGEMENT AWARD

REPORT開催レポート

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会主催 第12回公開シンポジウム

2024.11.24

2024 年11月24日(日)13:00‐17:30 有楽町朝日ホールにて開催

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会は、2024年11月24日、有楽町朝日ホールにて、第12回公開シンポジウムを開催しました。会場401名、オンライン137名、計538名の方に参加していただいた今回のシンポジウムでは、「ブランディングで日本を元気に! 地域資源を活かした持続可能なブランディングで地方から日本を元気にする」と題し、基調講演や今年名称を変更した「BRAND MANAGEMENT AWARD®」で選ばれた実践事例の発表、授賞式などを行いました。

最初に代表理事の岩本俊幸が次のように挨拶しました。

「本日は、第  12  回公開シンポジウムにご参加いただきありがとうございます。当協会は、ブランド価値向上を担う人材育成の専門機関として、設立当初より 3 つの基幹講座を開講し、『ブランディングで社会課題解決する実践コミュニティを築く』という

ビジョン、『ブランド・マネージャーを数多く輩出して企業価値を向上し、日本経済発展に貢献する』というミッションのもと『ブランディングで日本を元気にする実践コミュニティ』を目指しております。

当協会は、ブランディングに実践の「型」を取り入れた日本で最初の専門機関です。ブランド・マネジメントの研究で国際的リーダーの一人であるケビン・レーン・ケラーの書籍『戦略的ブランド・マ

ネジメント』をベースに、実践しやすいカリキュラムを開発しました。カリキュラムは日本のブランド論の第一人者で、当協会特別顧問・中央大学名誉教授の田中洋先生に監修を行っていただいています。

協会は2010 年に一般財団法人格を取得し、通常の講座はもとより、イベント、セミナー、勉強会なども数多く実施してきました。中でもシンポジウムは 2010 年から開催しており、コロナ禍で開催できなかった 2 年間を除いて毎年開催し、今回が 12 回目になります。第 5 回よりブランディング事例コンテストの授賞式やプレゼンの機会を設けるようになりました。

協会資格者によるブランディング事例は着実に増え続けています。このような実践事例が多くあるということは、協会で提供するカリキュラムが単なる机上の道具ではなく、現場で実践しやすい内容であることが実証されているのではないかと回を重ねるごとに強く実感しております。これらの成果は、資格者のみなさまの努力の賜物であり、関係者のみなさまのご支援に改めて感謝を申し上げます」

基調講演「持続可能な地域経済とブランディング

基調講演では、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構代表理事で  AGRIST  株式会社代表取締役の齋藤潤一氏が「持続可能な地域経済とブランディング」をテーマに講演しました。

齋藤氏は、はじめに「ブランディングにとって大事なのは連続性、継続性、一貫性」だと語り、自身が手掛けた宮崎県新富町

のブランディングである一粒 1000 円の「新富ライチ」の事例を紹介。映像で新富ライチの特徴、魅力を説明したうえで「ブランディングにおいて、認知をとるということが非常に重要なポイントになっている」と考えを述べました。

次に、齋藤氏はどのように「新富ライチ」のブランドを開発したのかを説明。「ライチブランド開発の 5 要素」として、「事業者の声をヒアリング」「データを活用して競争優位性を検証」「機能価値ではなく体験価値を売る」「狂ったように伝え続ける」「最後は人」などの要素についてそれぞれ解説し、これからのマーケットが二極化することや、誰と組むかが重要であることなどを指摘しました。

続けて齋藤氏は、「新富ライチ」のブランディングの「失敗しなかったポイント」を解説。「売らないところを決めた(ふるさと納税を軸)」「東京進出!パリ進出!をやらなかった」「むしろ『地域に来て

ください』」「物ではなく体験とストーリーを売った」などのポイントを挙げ、それぞれの意図について解説しました。

さらに齋藤氏は「緻密なブランディング設計」や「賛否両論が大事」など、ブランディングを行ううえで大事なポイントを紹介。このほか「地域課題を解決するメソッド」として「発見、磨く、発信」という 3 つの行動をし続けることが大事だと力説。「連続性、継続性、一貫性を持ってやり続けることを重要視してほしい」と訴えました。

講演の終盤では、「イノベーションは偶然起きる」「人が覚えられるのは 5 キーワードが最大」「ストーリーで伝えると 22 倍伝わる」「長所を伸ばせ」など、ブランディングの大切な考え方について解

説。最後に、齋藤氏は「おさえておきたい 3 ステップ」として、「ステップ 1 連続性、ステップ 2 継続性、ステップ 3 一貫性」とブランディングにおいて重要なポイントを改めて強調し、締めくくりました。

協会フレームワークのご案内

次に、同協会本部トレーナーの榎本真弓氏が「一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会の『ブランド戦略』および『ブランド構築の 8 ステップ』の概要」と題して講演しました。
榎本氏は、まず協会が提唱しているブランド戦略の概要を解説。協会が体系化した念(ミッション・ビジョン)や経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略についてそれぞれ解説しました。

次に、榎本氏は「ブランド戦略の 8 ステップ」の概要を紹介。ステップ 1「環境分析による市場機会の発見」からステップ 8「目標設定」まで、それぞれの内容を解説したうえで、ブランド戦略は大人数で長期的に行われるため、このステップをブランド・ステートメントに明文化して関わるメンバ ーで共有しながら検証して進めていくことが必要だと話しました。
さらに榎本氏は、このステップの特徴として、ステップ 5 の「ブランド・アイデンティティ」を境に前半と後半で分かれることを説明。前半が「ブランド・アイデンティティ形成ステージ」、後半が具体的なブランディング活動を決める「目標設定ステージ」であることを解説しました。

BRAND MANAGEMENT AWARD~事例紹介~

「BRAND MANAGEMENT AWARD」は昨年まで過去 7 回開催された「ブランディング事例コンテスト」から名称とロゴをリブランディングして開催。当協会で学んだことを現場で活用した事例を募集し、その中から構築プロセスと成果が優れた事例を表彰します。シンポジウムでは、書類審査と二次審査を通過した 10 組が登壇。第一部、第二部の二部構成で、最終審査となる事例プレゼンテ ーションが行われました。(受賞事例は「BRAND MANAGEMENT AWARD~審査発表・授賞式~」に記載)

BRAND MANAGEMENT AWARD~審査発表・授賞式~

今回発表された事例の中から、2024 年は以下の企業に各賞が贈られました。大賞、準大賞は参加者による全員投票で決定しました。

大賞&BRAND MANAGEMENT OF THE YEAR&農商工連携審査員特別賞:柑橘「へべす」のブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社コムデザインラボ 高木純)
[受賞理由]
「へべす」の魅力を引き出し、5年間の継続的な取り組みで認知度を大幅に向上。地元宮崎と日向を取り入れる戦略的アプローチや、サバとのコラボレーションがブランドの付加価値を高め、独創的な施策でブランディングの完成度を高く評価されたことが農商工連携審査員特別賞の受賞理由となった。

準大賞&最優秀賞:真のエシカルを実践した肉屋のブランディング

(ブランド・マネージャー:合同会社 Brand. Communication. Design. 平野朋子/三浦事ム所 三浦路夫)
[受賞理由]
エシカル消費とアニマルウェルフェアを重視した革新的なブランディングで、新たな市場価値を創出。顧客層の若返りや売上目標の達成を通じ、持続可能なビジネスモデルを確立し、企業理念を体現した戦略の完成度が高く評価されたことが最優秀賞の受賞理由となった。

準大賞&最優秀賞:真のエシカルを実践した肉屋のブランディング

(ブランド・マネージャー:合同会社Brand. Communication. Design. 平野朋子/三浦事ム所 三浦路夫) [受賞理由] エシカル消費とアニマルウェルフェアを重視した革新的なブランディングで、新たな市場価値を創出。顧客層の若返りや売上目標の達成を通じ、持続可能なビジネスモデルを確立し、企業理念を体現した戦略の完成度が高く評価されたことが最優秀賞の受賞理由となった。

中小企業庁長官賞:国産うずら卵のブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社サンコー 櫻山貴文/三浦事ム所 三浦路夫)

[受賞理由] 国産うずらの市場拡大に向けた戦略を展開し、消費者へのアプローチと中食メーカーとの協業で成果を上げた。三者を意識したブランド体験の設計と、社員との対話を重視したインターナルブランディングが持続的な活動を支える基盤となり、中小企業庁長官賞の受賞理由となった。

優秀賞:アートを日常にする 老舗画材メーカーを、アート企業にするブランディング

(ブランド・マネージャー:ぺんてる株式会社 田島宏/REX BRAND株式会社 相澤詩香)

[受賞理由] 老舗画材メーカーをアート企業へ進化させ、「描く自由」というニーズを捉えた取り組みを展開。クラウドファンディングや SNS での著名画家との協業など多角的なプロモーションが新市場の創造に貢献し、ブランドの独自性を確立した点が評価され、優秀賞の受賞理由となった。

優秀賞:天然クラフトコーラ「UMAMI COLA」のブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社月白 青栁寛之)

[受賞理由] 米麹甘酒ベースの天然クラフトコーラ『UMAMI COLA』を展開し、健康志向とRTD市場のニーズに応える取り組みを拡大。ターゲット分析を基にした価値訴求と洗練されたパッケージが、新市場創造とブランド認知の向上に貢献した点が評価され、優秀賞の受賞理由となった。

優秀賞:UR賃貸住宅のリブランディング

(ブランド・マネージャー:独立行政法人都市再生機構 白須英樹)

[受賞理由]
少子化・高齢化に対応するブランドコンセプトを設定し、認知度向上と若年層の支持を拡大。2014年からの取り組みや吉岡里穂さんの CM、MUJI とのコラボが住宅地の持続性向上に貢献した点が評価され、優秀賞の受賞理由となった。

インターナルブランディング賞:調剤薬局のインターナルブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社バウンディングパルス 海野康弘)

[受賞理由]
医療と介護福祉を融合した調剤薬局のインターナルブランディングを展開し、地域ニーズに応える価値提供を実現。社員主導のブランド構築と「みらいい志向。」の可視化が意識改革と組織の一体感を促進し、ビジョン共有に貢献した点が評価され、インターナルブランディング賞の受賞理由となった。

地域創生審査員特別賞:地域の未来を創造する介護事業のブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社アルファドライブ高知 橋詰曜世)

[受賞理由]
外部環境の分析を基に、戦略的なブランディングを展開し、利用者と社員の本音に応える独自の予防システムを構築。全社員の参加による組織の活性化と高齢化社会への対応力向上に貢献し、地域の介護事業に新たな価値を生み出した点が評価され、地域創生審査員特別賞の受賞理由となった。

SDGs 審査員特別賞:「IPUカルチャー」のブランディング

(ブランド・マネージャー:株式会社ファーストデコ 扇野睦巳/IPU 環太平洋大学 グエン ティ タオ ゴック/IPU環太平洋大学 文田夏帆)

[受賞理由]
3 年にわたる継続的なプロジェクトの一貫性と、外国人労働者や留学生の増加に対応する社会的意義のある活動が注目され、ベトナムとの関係強化に貢献。異文化交流を通じて、経済的価値と社会的価値の両面で成果を上げた点が、SDGs審査員特別賞の受賞理由となった。

SDGs 審査員特別賞:跡取り娘コミュニティのブランディング

(ブランド・マネージャー:一般社団法人日本跡取り娘共育協会 内山統子)

[受賞理由]
少数派の女性後継者を支援する新たな仕組みを構築し、事業承継の重要性に応える取り組みを拡大。外部環境の課題を踏まえ、女性経営者の連携を促進する活動や、社会の変革と女性リーダーの育成に貢献した点が評価され、SDGs審査員特別賞の受賞理由となった。 大賞、準大賞の発表の要旨は以下のとおりです。

大賞 柑橘「へべす」のブランディング
事例タイトル「幻の柑橘とも呼ばれる柑橘『へべす」と、その日本唯一の総合代理店のブランディング」

柑橘「へべす」のブランディングは、「幻の柑橘」とも呼ばれる宮崎県日向市原産の柑橘「へべす」のブランディング事例です。 2011 年から「日向のへべす大使第 1 号」「みやざき大使」を歴任し、PR に取り組まれるなど大のへべす好きである川橋さんは、結婚を機に宮崎から本州に移住に直面。2019 年にコムデザインラボに相談したことからブランディングがスタートしました。しましたが、そこでへべすの認知度が低い現実

へべすには、「販売シーズンが短く、行政がプロモーションする期間が旬である夏に限定される」「知名度がなく、販売戦略が見つからないため作り手の生産農家が少ない」「食卓では焼き魚の脇に添えられるだけで、常に地味なイメージが定着している」という 3 つの課題がありました。そこでへべすを深掘りすると、日向市には嫁がせる時に苗木を持たせる風習があったため各家庭の庭先にへべすの木が埋めてあり、地元では「買うものではない」という認識があることが判明。この歴史的背景をブランディングのヒントにしました。
ブランディングでは、日照時間が一番長いという宮崎のイメージからブランド・アイデンティティを「晴れやかな柑橘」に決定。名称は、川橋さんがみやざき大使、日向のへべす大使を兼任していることを背景に、宮崎、日向のどちらにも協力してもらえるように「ひむかの国宮崎」と「日向市」の意味を持たせた「日向(ひむか)へべす」と命名しました。ロゴは、婚礼の風習から連想する箱入り娘の世界観と、箱に入った贈答用のへべすのイメージを重ね、箱入りを表現する四角いデザインを採用。さらにブランド誕生と同時に、へべすの PR・販売を担う日本初のへべすの総合代理店「株式会社 K&Co.」を設立しました。
プロモーション期間が短く覚えてもらえないという問題は、加工品の開発に注力することで解決。「ハレの日」に選ばれるギフト商品を充実させ、1 年中へべすを店頭に並べる戦略を展開しました。また、加工品の材料として使うためへべすを計画的、安定的に収穫できるようになり、近年は新規参入する就農企業が増加。県や市も宮崎全体で生産体制を強化すると宣言しました。脇役で地味なイメージに対しては、日向市の婚礼の風習をヒントに「ハレの日」に選ばれる柑橘という世界観を構築しました。コミュニケーション戦略では、毎日が物産展のようなマルシェ戦略を立案。また、看板商品「黄金へべす鯖寿司」は、腐りやすい鯖をギフト販売するのは困難なため、贈った相手が好きなタイミングで取り寄せできる商品券「サバチケ」を開発しました。
こうしたブランディングにより、「黄金へべす鯖寿司」は販売すれば完売という状況に。へべすのお菓子「ハレの日 ダックワーズ」は、高級車レクサスのオーナーズラウンジから直接オファーを受けてラウンジ限定のお茶菓子にセレクトされました。出店したマルシェでは朝から行列ができるなど固定ファンがつき、安定した販売力をみせており、テレビでへべすが紹介される機会も増えました。ブランディングから 5 年経って気づいたのは、地方の人だけでは自分たちの魅力に気が付きにくいということです。大切なのは、自分たちの枠を超えて、人を巻き込む力であり、多くの人に共感、応援してもらえるブランドに育てること。一人の熱量を多くの人の熱狂に変えることがブランデ ィングだと学びました。

準大賞 真のエシカルを実践した肉屋のブランディング
事例タイトル「真のエシカルを実践した 小さな肉屋の復活への挑戦」

「真のエシカルを実践した肉屋のブランデ ィング」は、手間の掛かる少量多品種のものづくりに徹している小さな肉屋さんのブランディング事例です。ブランディングの対象は 1976 年に創業して食肉の卸・小売事業を開始した肉屋さんで、そこでは牛肉を一頭買いしていました。そんな中、当時の創業者がテレビで一頭丸ごと使いきるドイツのハムづくりを知り、その世界一のマイスターのもとを訪れて技術提携を実現。ドイツの設備を本格導入し、ハムやソーセージの世界の数々のコンクールで受賞するまで成長し、売り上げも拡大しましたが、2014 年から売り上げが右肩下がりになり、ブランディングによる再生に取り組みました。

ブランディングでは、まずテレマーケティングなど時代に合わない販売手法や、顧客の高齢化によって売り上げが減少しているという問題点を発見。市場分析を行い、エシカル消費市場の規模は年々拡大しており、無添加の加工肉食品を求める市場はむしろ成長しているため、販売方法やコミュニケーション手段を時流に合わせて改善することでターゲットの若返りが実現し、過去最大の売り上げを取り戻せるのではと仮説を立てました。目指すゴールは、ターゲットをシフトし、過去最大の売り上げである 3 億円を取り戻すことと決めました。
ニーズや価値観は普遍的ですが、見込み客と既存顧客では年代、ライフスタイルが違うため、まずコミュニケーション手段を、口コミやチラシ、DM、テレマーケティング、カタログからレビューやSNS、ギフトサイト、楽天、自社 EC などに変更。ブランド・アイデンティティは、ハムやソーセージは多品種少量生産で無添加自然素材のみを使い、手間暇を掛けているなど大量生産とは一線を画した独自の価値があることなどから「本物の一流肉を、汚すことなく届ける。」と決定。ロゴマークは、本物を作り続けるマイスターをシンボル化し、店の姿勢そのものを可視化しました。さらにロゴマークを基に、マイスターと看板商品の「ポリポリくん」のキャラクターを制作。そのキャラクターを活用して本物を伝えるブランドストーリーを作り、すべての製品、パッケージ、ウェブサイトに展開し、一貫性を持たせました。
こうしたブランディングにより、この肉屋の売り上げは昨年対比 24%増となり、目標の売り上げ3 億円を達成。例年赤字だった 4 月期、5 月期の売り上げも 1000 万円アップし黒字化しました。タ ーゲットをシフトするという目標は、ブランディング前は既存顧客の 90%がシニア層でしたが、ブランディング後は子育て世代とシニア世代がともに 50%になるなど変化。SNS のフォロワーも X は10 万フォロワー、Instagram は 2 万フォロワー、Threads は 8000 フォロワーと、開始 2 年で多くのフォロワーを獲得しました。また、楽天ランキングでは 3 部門で 1 位を獲得し、月間 MVP 賞も受賞。高島屋や名鉄百貨店、四つ星ホテルからの引き合いも出るようになりました。

審査員長総評

授賞式の最後に、審査員長の田中先生から次のような総評がありました。
「毎回、単にブランドで成功してお金がもうかったというだけではなく、感動を与えてくれるのがこのアワードのいいところだと思います。では、どうして感動が伝わってくるのかというと、大きな理由のひとつは、自社の利益だけではなく、地域、在日外国人の方、エシカルなど、多様な視点から社会、環境のためになることをやってらっしゃるからだと思います。また、みなさんチームで活動しており、そのチームの活躍ぶりも非常に感動を与えていると思いますし、地域の方に一種のシビックプライド、住んでいる誇りを与えているのも感動する原因ではないかと思いました。来年もぜひ引き続き、こうした運動を盛り上げていただいて、さらに感動を与えてくれる応募をしていただければうれしいです」

閉会の挨拶

最後に顧問の長崎秀俊氏から次のような閉会の挨拶がありました。
「私の大学の学祭の話をしたいと思います。私は今年から学部部長を拝命しまして、学園祭の責任者として、大学のある新宿区中井のいろいろな町内会長と名刺交換をしました。そのときに、新宿には『クリアソン新宿』というサッカーチームがあることを

教えられ、調べてみるとこのチームではブランドをしっかりと設定していたんです。新宿の特徴は多様な文化の人が集まる場所ということで、チームではダイバーシティを掲げ、地域でゴミ掃除をしたり、小学校に教育に行ったり、という活動をしているそうです。そしてもうひとつ、学園祭に来た6 年前の卒業生からは、転職して今は『横浜エクセレンス』というプロバスケットチームで働いていると聞きました。彼女は前とは全然違う仕事だけれど、地域の人を巻き込んで楽しく仕事をしているそうです。直近でこのふたつの事例を聞き、先ほどの田中先生のお話にもつながりますが、小さな規模で、関わる人たちを巻き込んで、みんなを幸せにしているという身近な事例だと思いました。そしてそう思ったとき、今日発表されたみなさまやここに座っていらっしゃる方々も毎日それを作っているんだな、と実感し、今日は改めてみなさまの日々の活動を尊敬の念を持って聞かせていただきました。我々審査員は毎年このコンテストを楽しみにしておりますし、来年度もぜひこのような形で、小さな規模から始めて周りを巻き込んでみんながワクワクするような世界を作っていただければ、協会が掲げている『地方から日本を元気にする』ということができるのではないかと思います。また来年、この場でお会いできることを楽しみにしております」

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